俺様副社長のとろ甘な業務命令
考えてみたら、副社長と二人で歓迎会の場を去ったなんて、副社長以前に職場のみんなに顔を合わせられないことに気が付いた。
シャワーを浴びながらそこに気付き、支度をしつつも何度も今日は休みますと連絡を入れようかとスマホを掴んだ。
だけど、休んだらまた明日余計に出社しづらくなる。
それを考えると、覚悟を決めて会社へと向かうことに決めた。
何と誤魔化そうか。
記憶がないという事態だけに、辻褄が合わない作り話をして自爆もしかねない。
周りの反応に瞬時に対応していくしかないけど、普通にしているつもりでも挙動不審になっていそうで、平静を保って受け答えができるか不安しかない。
とにかく、平常心、平常心……。
かなりの緊張の中、腹をくくってオフィスへと踏み込む。
が……。
「あ、ゆず、おはよう」
この問題最大のラスボスと勝手に認定していた美香子は、いつも通りの様子で声を掛けてくる。
不思議に思いながらも「おはよう」と努めて普段と変わらない挨拶を返した。