俺様副社長のとろ甘な業務命令


「っ……あ、あの」


強制的に顔を向かされて、嫌でも目が合ってしまう。


二人きりの車という密室で。
しかも夜に、こんなに近距離で。


こんな風に見つめられるなんて、標準な女子なら心拍が上がらないわけがない。


誰かが仕事中に雑談していた。

「整い過ぎてて顔見るのが恥ずかしい」と。

そんなことを思い出してしまうと、速まっている鼓動が更に早鐘をつく。


無意識に自分もそうしていたのかもしれない。

面と向かってじっと見ることも、見られることも、避けるようにしていたことにこの状況の中気付く。


私の心境を見透かすように逸らされない副社長の目。


耐え切れなくなって視線を外す私に、副社長はフッと息を漏らした。



「顔が疲れてるな」

「えっ……」

「化粧品会社の広報がそんな顔じゃいい仕事ができない。一晩でしっかりリセットしてこい」


< 51 / 179 >

この作品をシェア

pagetop