俺様副社長のとろ甘な業務命令
「あの、何ですか、こんな朝っぱらから呼び出しって」
それなりに焦って出てきたのに、涼しい顔で出迎えられてため息が出そうになる。
ずかずかと突き進んでダイニングに出て、目の前に現れた光景に用意していた続きの文句が吹っ飛んでしまった。
きちんと礼儀正しく並べられた和食器。
そこには、煮物や卵焼き、焼き魚などが綺麗に盛り付けられている。
白いご飯とお味噌汁からは湯気が立ち上っていた。
思わずキョロキョロと部屋の中を見回してしまう。
もしかして、本物の家政婦さんでも雇っているのかも。
でも、私たち以外に人の気配はない。
「言われた通り急いできたみたいだな」
広げていた新聞をたたみながら、副社長は私を見てフッと笑う。
「な、何ですか?」
「ここ」
「えっ?」
自分の首元を指差し、何かを知らせた副社長はまたクッと笑う。
確かめるように同じ場所に手をやると、コートの襟が内側に入り込んでいた。
「あっ……!」
急いでいたから、指摘されるまで全く気付かなかった。
バッグを足元におろして急いでコートを脱ぐ。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる……!