俺様副社長のとろ甘な業務命令


「そりゃあ、副社長はよくあることなのかもしれないですけど……私は、そういうこと今まで一度もないんです。だから、」

「酔い潰れた奴を連れて帰る羽目になったことなんて、今まで一度もないけど」

「だから、そういう意味じゃなくて」

「お前こそ、記憶なくなるまで飲んで、男にお持ち帰りされることよくあるんじゃないのか?」

「なっ、無いです! 今まで一度だってそんなこと!」

「まぁ、それもそうか。そんなんじゃ彼氏にも愛想つかされるもんな」

「それはご心配なく。そういう人は今はいませんので」

「ふ〜ん……」



な、何か……逆に探られてるような……。



気付かれないように横目で様子を窺ったつもりが、副社長はしっかりと私の視線をキャッチする。

こっちの動揺を見透かしたようにフンと鼻で笑った。



「後ろめたくなる相手がいないなら、別にそんなに困ることもないだろ、一夜の過ちくらい」

「はっ!? えっ?!」

「お前が忘れてくれって言うなら、忘れるし。誰かに話す気もないしな」

「わ、忘れるって……やっぱり」

「まさか、何がどうだったかとか事細かく話せなんて、いい大人が野暮なこと言わないよな?」

「なっ……」

「それでもどうしてもって言うなら、最初っから最後まで赤裸々に語ってやっても」

「あぁぁぁ! もうっ、もういいです!」


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