俺様副社長のとろ甘な業務命令
気付けば自分から話を拒絶するように終わらせていた。
今日こそは、そう思って意気込んでいたのに、やっぱり聞く勇気がなかった。
聞かないと駄目だとばっかり思っていたけど、よくよく考えてみれば聞いたところで自分はどうするつもりでいたのか。
ただ真っ赤になって、返す言葉もなく、余計に気まずい思いをするのがはっきりと目に見える。
もうもうもうっ!
このことは、誰にも知られずに墓場まで持っていくしかないってわけね?!
自分の中で抹消するしか、それしか……。
「心配するな」
「……?」
「万が一、取り返しのつかないことにでもなってたら、責任取ってやるから」
「…….っ! なっ、何言ってるんですか?!」
今日一番のボリュームで言い返しながら、顔面が一気に真っ赤になるのを感じていた。
何か言い返したい気持ちに逆らって、耳まで熱くなっていく。
「ま、その心配はないはずだけどな」
副社長は平然と前を向いたまま、その横顔に意地悪っぽい笑みを浮かべていた。