俺様副社長のとろ甘な業務命令
まただ……。
また完全にペースを乱されてる。
からかわれてると頭ではわかってるのに、どうしてこうも相手の思う壺な反応をしてしまうんだろう。
ていうか、責任取るって……責任取るってどういうこと?!
冗談でもそういうこと言う!?
ほっんと、信じられない!
そこからは何を話したらいいのかわからず、緊張を落ち着かせながらひたすら黙り込んでいた。
顔を上げることもままならず、無駄にバッグの中をガサゴソいじってみたり、不自然な行動を取ってしまう。
膝の上の手元ばかり見ていた私へ「着くぞ」と声が掛けられたのは、高速道路を降りてしばらくしてからだった。
やっと顔を上げて見たフロントガラスの先には、前に一度訪れたことのある場所が広がっていた。