俺様副社長のとろ甘な業務命令
「あの、副社長」
「……?」
「今日、見に来れて良かったです。同行させていただき、ありがとうございました」
改まってお礼の言葉を口にした私に、副社長はふっと気が抜けたような笑みを見せ目を伏せる。
すぐに視線を上げると、真っ直ぐに見つめられた。
「商品が形になる日に、お前を立ち会わせてやりたかったんだよ」
「え……?」
「斎原は、生みの親みたいなもんだろ」
そう言った副社長の手の平が頭の上に乗ってきて、予告なしの行動にドキッとしてしまう。
髪に触れた手はポンポンと頭を優しく撫でて離れていった。
「そろそろ行くか」
「あ、はい……」
踵を返して先に歩いていく後ろ姿について行きながら、突然の行動に鼓動の高鳴りを感じずにはいられなかった。