俺様副社長のとろ甘な業務命令



工場を出てしばらくすると、週末らしい賑やかな横浜の街並みが窓の外に見えてくる。


横浜の店舗は、観光客で賑わうみなとみらい21地区の大型商業施設内に店舗を構えている。

二百店舗近くが出店している激戦区だけど、売り上げは上々の店舗だ。


モール内は多くの人で賑わいを見せていた。

カップルや友人同士のグループ、家族連れなど、思い思いの休日のひと時を過ごしている。

平日と違い、副社長のようにスーツで歩く人の姿はほとんど目につかない。


一階の店舗へと向かいながら、行き交う女子たちの視線が必ずと言っていいほど副社長に向いていくのを感じ取る。

中には通り過ぎてから振り返って二度見する人や、すれ違う前からコソコソとこっちを見て何か言っている人までいる始末。


目を奪われるほどに容姿端麗なのは重々承知だったけど、これだけ女子たちの視線を吸い寄せてしまうことに改めてその凄さを思い知らされた。


自分がこれだけ見られていることに、この人は何も感じていないのだろうかと疑問に思ってしまう。


特に何も気に留めていない様子で時折話しかけてくるけど、関係のない私の方が無駄に動揺してしまっている。


もうこういう視線とかには慣れっこなのだろうか。


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