俺様副社長のとろ甘な業務命令
「今日って、副社長が来ること店舗は知っているんですか?」
「いや、特に知らせていない」
「えっ……」
「何か問題でもあるか」
「いや、副社長がいきなり店舗視察に来たら、スタッフがみんなビックリするんじゃないかと」
「普段の様子を見に行きたいんだから、知らせてたら意味ないだろ。抜き打ちチェックみたいなもんだ」
「鬼ですね……」
「何か言ったか」
「いえ、何でもないです」
見えてきた『CHiC make tokyo』の店舗は、客入りも良く予想以上に賑わっていた。
明るく入りやすい店構えは、通り掛かる人の足を自然と店へ招き入れる。
クリスマスシーズンを前に、店舗はシルバーを基調としたセンスの良い装飾で普段よりも可愛らしくデコレーションされていた。
客のように何食わぬ顔で店内に入っていく副社長の後に続く。
「どうぞご覧ください」と声を掛けていた手の空いているスタッフが、入ってきた私たちを見て一瞬驚いたような表情を見せた。
すぐに「お疲れ様です」と駆け寄ってくる。
「副社長、今日はどうされたのですか?」
やってきたのは、私よりも歳は上だと思われる女性スタッフ。
胸元につけたネームプレートの名前の前には、店長の文字があった。