夫の真実


会社に戻ると、オーストラリアに行く予定だった専務が、熱を出し、誰が代わりに行くかで、もめていた。

結局、俺が代理を務めることになり、急いで旅行の準備に帰宅したが、美保は留守にしていた。

仕方なく自分でスーツケースに着替えを積め、成田に向かった。

チームの若手ホープ、国見孝司(くにみ たかし)と機上の人となった。

帰宅したとき、美保に連絡を取るために、プライベート用の携帯を探し、無いことに気づいたが、会社に忘れたと思い込んでしまった。

一応、ダイニングのテーブルに、オーストラリアに出張する旨、書き置きを残してきた。

こういう時、携帯がないと、連絡の取りようがないことに改めて気づいた。

会社用の携帯にも、美保の番号を登録すべきだと思った。帰国したら、さっそく登録しよう。


この日の自分の失態を、後々ずっと戒めとして忘れることはなかった。



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