夫の真実
俺は、後の事を国見に任せ、急いで帰国した。
若い国見は少し不安気味だったが、頑張れと励ましてパーティーを抜けた。
帰国して、病院に着くと、美保の母と俺の母が付き添っていた。
美保は、まだ意識が戻らない。
「何があったの?」
「分からないのよ。」
佐伯の叔母が、美保がホテルの仕事に来ないからと、携帯に何回にも連絡したが、応答がない。
俺にも連絡したが、俺にもつながらず、ずいぶん心配をかけたらしい。
「瞳(佐伯の叔母)さんが美保さんの実家に連絡して、マンションの部屋で倒れていたのをお母さんが見つけて、救急車を呼んだのよ。」
「お義母さん、留守にしていて、申し訳ありませんでした。」
「要さん、仕事だから仕方がないわ。あなたの方は、仕事、大丈夫だったの?」
「それは大丈夫です。それで美保の具合いは。」
お義母さんが、突然涙ぐむ。
「要、美保さんね、妊娠していたのよ。でも、赤ちゃん駄目だったの。ここ数日、何も食べたり飲んだりしてなかったらしく、脱水症状と、栄養不足で意識を失っていたそうよ。」
「俺がオーストラリアに発つ前は、普通だったけど、妊娠についても、何も言ってなかったし。」
「きっと妊娠は、自分でも気づいてなかったと思うよ。でなければ、食べないという行動はとらないから。」