夫の真実
【美保sights】
要さんに聞きたいのに、彼がいない。
私は、何も手につかず、1日中ぼうっとして過ごしていた。
空を見つめては、
「要さん、早く帰ってきて。」
と呟く。
すると、要さんと一美さんの姿が重なり、二人そろって、私を見てほくそ笑んでいる。
私を頭を振って、その映像を消し去る。
その繰り返しだった。
心を支えている中心の柱が、今にも真っ二つに折れそうだ。
私は、危うい状態だったのだ。
ふと顔を上げると、目の前には大きなトンネルの入口があった。
入りたくないのに、何かに引っ張られる。
声を出したくても、踏みとどまりたくても、無理だった。
勝手に足が動き、私を暗闇に連れていく。
どれだけ歩いたのだろう。
向こう側に、微かな明かりが見えてきた。
気がつくと、右側に、私と手を繋ぐ小さな男の子がいた。
「大丈夫だよ。僕と行こう。」
男の子は、私を連れて、どんどん進んで行く。
トンネルの出口が見えてきた。
「ここで、さよならだよ。」
「あなたは、一緒に行かないの?」
「そう、僕は、ここまで。
でも、また直ぐに会えるよ。その時は、僕をちゃんと守ってね。」
そう言うと、男の子は、突然消えた。
辺りを見回したけど、男の子を見つけることはできなかった。