夫の真実
私は、マンションには戻らず、実家に帰ることにした。
退院した次の日、迷惑をかけてしまったお詫びに、佐伯の叔母を訪ねた。心配した母も同行した。
「美保さん、出て歩いて、もう大丈夫なの?」
「この度は、本当にご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。」
「いいのよ。あなたが大丈夫なら、それが一番だから。」
「仕事のほうも、すみませんでした。」
「ホテルの方が残念がっていたわ。回復したら、またお願いしたいそうよ。」
「そうですね。でも、まだ頭の中が、薄いカーテンのようなものがかかっているようで、すっきりしないんです。」
「まだ思い出せないのね。でも、無理せずにゆっくりでいいと思うわ。」
その話を、要さんがドアの前で聞いていたのを私は、知らなかった。
そして、流産のことを誰も、話してはくれなかった。私は、何も知らずに、回りの人たちから守られていたのだ。