夫の真実


私の頭の中が、混乱状態になり、パニックを起こしていた。

直ぐに医師が診て、鎮静剤を打たれた。

しばらくして、私は、再び眠りについた。




眠っている間、病室に、人の気配がしていたのは、なんとなくわかっていた。

誰かが、私の頭や顔を撫でているのも、何回となく感じていた。

その時は温かな気持ちに包まれているようだった。





私は、自分が結婚していることは意識として覚えているが、夫が誰かは、思い出せなかった。

でも、他の人々については、義理の両親のことさえ、覚えていた。

何故か夫には、会いたくないと言う気持ちで一杯だった。会いたくないと言うより、会ってはいけないと思うのだった。

だからか、夫は、病室に現れることは、なかった。

何回か、若い女性が訪れて、病室の前で母と揉めていたが、会うことはなかった。


一週間ほどして、私は退院することになった。

「美保、一度マンションに帰ってみる?何かわかるかもしれないし。」

「正直に言えば、マンションに行きたい、いえ帰りたいとは思わないの。どうしてかしら?ねぇ、お母さん、私の結婚って、不幸そうだった?」

「そんなことあるはずないでしょ。幸せそうだったし、何より、あなたが望んで結婚したのよ。彼もあなたを思ってくれてたし、上手くいっていたのよ。それなのに……」
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