夫の真実


しかし、事はそれだけでは済まなかった。

美保は、何を誤解したのか、俺と一美が夫婦で、俺には会えないと言う。

それに、夫のことをスッポリ忘れてしまった。それなのに、結婚していたことは、覚えている。

それは、自己防衛の一つだと、医師が説明してくれた。

心が拒否し、安定をかろうじて、保っているそうだ。

だから、暫く会わずにそっとしておくのが、治療になるらしい。

要と言う名前には、反応する。それも異常に。

だから、俺は直接会うことはかなわなかった。


俺は、特別に医師の許可を取り、面会時間を過ぎて、夜、美保が眠った頃、会いにいった。

話したいと言う気持ちを押さえるのが、辛かった。しかし、美保は、もっと辛い思いをしたのだから、男の俺は、耐えなければ。



美保は、退院した。

お義母さんが、マンションに帰るのを進めてくれたようだが、美保は、実家を選んだ。

これから、俺は、どうしていけばいいのか。

父が、美保の具合いが悪く入院していることだけをプロジェクトチームに伝え、俺をチームから外してくれた。


美保のことに専念しろと言うことだ。

俺は、親の有り難みを感じずにはいられなかった。
< 34 / 41 >

この作品をシェア

pagetop