貪愛
ゲホッと咳き込みながら身体を起こせばピカッと光る雷に照らされる男が僕に問いかけてきた
僅かに目を開く
「見えているのか?」
ゴロゴロっと遠くで雷が唸る
見えていて、変わらず怯むことなく僕と対峙していると言うのか?
まさか。嘘だろう?
この姿を見ても恐れないというのか?
つくづく変わった人間だと見つめてしまう
男は口元に弧を描くのみで
「名前の契約にしようか。名前は大切だからね」
マイペースに魔法陣の中をゆったりと歩く
僕と僅かな距離を開けて対峙するなり
「で?姿は変えられないの?同じことを質問させないでくれ」
さっきから言ってるだろうと言われて眉根を寄せる
それでも先程のように喰らいつきたい感情はなかった
自分の魔力を確認するように纏ってみる
封じられていたのは解けたらしい
「本来の姿を見せなさい」
僕の魔力を感じたのか、目の前の人間はストンと言葉を落としてくる
逆らう気は毛頭無い
漆黒の両翼を一度バサリと出して身を隠すように纏った