私の彼氏は超肉食系
私は部屋番号が書かれた大きな両開きの扉の前で、カードキーを差し込むと扉の取っ手を回し開いた。

部屋の奥のイスに腰掛けていた彼が立ち上がり呆然としている。

「入るわよ。」

「久しぶりね。」

「僕を・・・僕を・・・笑いにきたのか!」

ズキッ 彼の言葉が私の心を抉る。

「そうね。そう思って貰っても構わないわ。」

心の思いとは逆方向に口は滑りだす。我ながら天邪鬼である。

「貴方の母親が慰めてほしいって言っていたけど・・・。」

「志保。お前、それがどういうことか分かっているのか?」

「分かっているつもりよ。ほら、私を抱き締めたいんでしょ。無理しなくてもいいわよ。貴方の欲望なんてお見通しよ。」

思いのほか動揺したのか、『抱きたい』と言うつもりのところを『抱き締めたい』と言ってしまった。

しかし、彼は何も気付かずにそのまま私とベッドに縺れこんだ。
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