私の彼氏は超肉食系
「この病院の病棟はなかなかいいでしょう? 母が入院していたのよ。そこから見える中庭では花が綺麗なのよ。特にあちら側の一角に桜が沢山植わっていて、それはもう綺麗・・・。」

裕也がソファから立ち上がって近寄って来たので抱き締めるつもりで両手を広げて出迎える。

「な・・ん・・で・・・・っ。」

裕也の両手が私の首に掛かっている。

近くまで来てようやく見えた顔は憤怒の表情で、彼が私の首を絞め上げている。

咄嗟に広げていた両腕でその手首に親指を突っ込み、僅かな気道を確保する。

「何で志保がテレビに出ているんだ。あの場所は僕のものだったはずなのに!」

女性の腕ならば、そのまま捻れば腕を外せるはずなのだが、男性相手では気道を確保するのが精一杯だった。

それも次第に狭まってきている気がする。

「この僕から奪ったな。母も仕事も生きがいさえも・・・・・・お前さえいなければ・・・。」

何かを勘違いしている・・み・・た・・い・・・だ。

次第に思考が止まり始めている。

< 54 / 307 >

この作品をシェア

pagetop