魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜




そうではなくて、待つのは慣れてる。


彼を待つのは何よりも大切な大切な、私の時間。



至上の喜び。



苦になど思うはずがない。


そう、あの人が帰って来てくれるのなら。


私はなんだってできるのだ。





シュウが出て行って数日。


姿を見れなくなって数日。


それは長い長い、孤独という名の時間の始まり。



ここから出られない。


なら私は、彼を待つしかない。


大丈夫。きっと戻って来てくれる。


だけど、そんな希望は儚い夢を見ていたに過ぎなかった。


彼が戻ってくることはない。


少なくとも、ここに私がいる限り。


確信は事実を呼んで、現実のものとなる。



認めたくはなかった。


もう一度会えるなら、きちんと話し合いたかった。



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