イジワルな彼と夢みたいな恋を?
とにかく中学生なのにやる事はまるで小学生レベルで、最低な思い出しか記憶にない。

だけど、そんなふうにフザけてた奴の割には成績がやたらと良かったのも事実だった。



「一ノ瀬を見習えよ〜」


中間テストの結果をヒラヒラとさせながら担任が言った。

旗めいてるのは百点の答案用紙で、担任が担当する教科だけでなく、他の四教科も全て九十点以上の高得点だった。


一ノ瀬圭太は瞬く間にクラスの羨望を集める存在に成り上がった。
元々身長が高かったこともあり、女子達の間では「カッコいいね」と評判になってた。



「いいなぁー、太田さんは」

「一ノ瀬君と席が隣の上に委員会までが一緒でさぁ」


「何処がいいの?そんなに言うなら学級委員やる?」


いつでも代わってやるよ…と言えば、どの子も必ず拒否する。

中一の一学期はまだ小学校別でグループが出来上がってて、部活は一緒でもクラスでは全く話さないってことがよく見られた。

そんなバラバラな関係を一つに纏めあげるのは簡単じゃなかった。



「俺は折角同じクラスになったんだから、一人が全員と話せるくらいに仲良くなれればいいなって思う」


平等主義者みたいな一ノ瀬圭太の言葉を、私は「無理無理!」と笑い飛ばした気がする。

そしたら彼は怒ったような目をして、「やる前から無理だと決め付けるな!」と怒鳴った。


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