君の星、僕の星

あの日から様々な感情が胸に渦巻いている。


どんな女なのだろう。
歳はいくつなんだろう。
どうやって知り合ったの?


今のところ知っているのはイニシャルが『A』という事だけ。


どうせ遊びだ。妻は私だ。

気にする事ないと言い聞かせてみても、優しい夫に裏切られていた事実を思うとふいに涙が出てくる。
そんな弱い自分が情けなくて余計に泣ける。


確かに最近、家の中の空気はどことなく澱んでいたかもしれない。
辛い治療のストレスから当たってしまうのが申し訳なくて、夫を避けた日もあった。


くつろげる家ではなかった。
だから夫は他の女に安らぎを求めた。


それにしたって不妊治療中にそんな事をする男と、この先人生を共に歩んでいけるだろうか?



「瀬戸さん。体外受精に切り替えてみませんか?」



医者に勧められるままに治療を続けているが、結果はまだ出ていない。



私が一生を共にするパートナーは英俊ではないと
神様がそう言っているのだろうか。
< 113 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop