桜ノ蕾
「やっぱりここが墓みたいだ」
戻ってきた秀はまじまじとお墓を見ている。
「ちょっと、そんなにジロジロ見たらダメでしょ」
「おう。でもさ、まさかこんなんだと思ってなかったから」
まぁ私もそれはビックリした。
もうちょっと大きなお墓を想像していたから。
「敗者の墓ってことなのかな」
「敗者?」
「うん。戦に負けて自害したらしいよ」
戦に負けてこんなひっそりと寂しい場所に眠る義長さん。
彼はどう思っているんだろう。
「まぁ、せっかく来たし花はないけど墓参りするか」
「うん」