桜ノ蕾



「くっ」


いきなり殿が吹き出した。



「すまんすまん。あまりにもライが面白い反応をしたのでついやり過ぎてしまった」


彼は笑いながらポンポンと私の頭を撫でて離れていった。


へ? 何? どういうこと?



私は状況を理解出来ないまま呆然と彼を眺める。

すると殿はニヤリと笑って。


「何を考えていたんだ、ライ?」


そのしてやったりみたいな顔を見て、カァーと顔が赤くなる。




こ、こいつ!
私の反応を見て面白がってるの?!
しかも私の考えていたことなんてお見通しみたいな顔して!


私は余計なこと思い出して変な期待までしちゃってたのよ!
私のピュアな純情を返せ!



「何言ってるのよ! 人で遊ばないでよ馬鹿!!」


涙目になりながら叫んだ私を彼は笑いながら頭を撫でて機嫌を直そうとする。


子供扱いじゃん。



ムスッとしたけど彼に撫でられて機嫌が治りかけてる自分がいるんだから呆れてしまう。




「機嫌は直ったか?」

「それ聞く?」



スッカリ機嫌が直った私を確認して彼は手を離した。
それが名残惜しいと思ったのは私だけの秘密で。


「で、手を出して目を閉じてもらいたいのだが」

「それ真面目に言ってたの?」

「勿論だ」


ここでまた彼の言うことを聞かなかったら次は何をされるか分からないので、私は仕方なく従うことにした。


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