桜ノ蕾



今何て言った?
手を出して目を閉じろ?




「な、ななな、何でよ?!」


真っ赤になりながら私は後ろに退いた。


何おかしなこと言っているんだこの人は!

そんなこと「はい、そうですか」って疑いなくする人なんていないでしょ?!



「何だ? ライは何を想像しているんだ?」


ニヤリと悪そうに口角を上げた殿は私との距離を縮めてきた。


「そ、想像? 何を仰っているのでしょうか」

「言葉遣いがおかしくなっているが?」

「うっ」


逃げようとしたけど運悪く後ろに大きな木があって逃げることが出来なかった。

それをいいことに彼はあり得ないくらい近くまで顔を寄せてきた。


「で、何を想像してたのだ?」


どちらかが少しでも動いたら唇が触れてしまいそうな距離。

思わず殿にキスされたときの事を思い出してしまい、一層顔が真っ赤になって心臓がバクバクと鳴り響く。





でも私なんか変な期待してる。

もしこのまま彼が私にキスしてくれたら何て考えてる。




そう私は彼にキスされたい。

彼とキスがしたいんだ。




そんな衝動が身体中に沸き上がって、私は彼を真っ直ぐ見つめてゆっくりと目を……


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