Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜

ーー薫にあんな風に言われたのもあって、しばらくして彼と会うことになった時、

なんだか緊張し過ぎて、つい言動がぎこちなくなって、

「……今日は、どうかされたんですか?」

と、秋冬さんに訊ねられる羽目になった。

「あ…えっと、別に…」

言いながら、『……しっかりと話しなよ。 いい? 』という薫の言葉が、頭をよぎる。

(……だって、そんなの、どうやって話したら……)

どう切り出していいのかもわからなくて、黙り込むのに、

「…何か、気にかかることでも?」

と、心配をされて、

「いえ、そんなんじゃなくて……」

よけいに緊張感がつのってくる。

「……いつものカクテルを、飲まれますか?」

秋冬さんにカウンター越しに笑顔を向けられて、「ありがとう…」と、返す。


……平日の今日は、彼とはお店の中で会っていて、

薫には、ああ言われたけれど、まだこのままでもいいかな……とも、感じた。



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