Secret twin LOVERS〜秘密の御曹司に、奪われ愛〜

「……。……春夏、そんな風に思って……」

彼が、息をふぅ…っと吐き出した。

「……僕は、おまえが嫌いだ……。……おまえと双子なおかげで、どれだけ僕が厭われてきたか……」

「……そんなのは、僕も同じです。……僕も双子なのに、あなたひとりが力をつけていくのを、ずっと苦い思いで見てきたんです……」

ヘリポートを、強い風が吹き渡って行く。

「……僕には、権力が必要だったんだ。……おまえが難なく集める人望を、僕が集めるためには……」

「……春夏」

彼が近づいて、その身体をそっと抱き寄せる。

「…何…する…」

抗おうとするのを、強く抱いて、

「……春夏。僕は、春夏のことが、ずっと好きだから……」

身体を抱えるように、両腕を固くまわして、

「……春夏……」

頬をつたったその涙を、指で拭うと、

「僕は……まだ小さかった頃に、"ハル"、"アキ"って呼んでた昔に、戻りたいんです……」

そう、肩越しに囁きかけた……。



< 62 / 93 >

この作品をシェア

pagetop