小さな村の大きな話


「んっ……」


「目、覚めたか??」


「……はい」



目の前には大和くん
……じゃなくて、佐伯先生と視歩ちゃんがいた。



「気分は??」


「大丈夫です」



なんとなく頭が重い気もするし若干気持ち悪いけど、一刻も早く佐伯先生から離れたかった。



「そりゃすごいな。
2日も眠ったままで血圧も血液検査も異常値。おまけに熱もあるのに大丈夫とは。
よほどの超人か馬鹿だな」


「なっ…!!」


「いいか、本田。よく聞け。
俺は壱原じゃない。言わなくとも汲んでくれるだろうなんて考えは捨てろ。
それと、俺はあいつみたいに優しくも甘くもない。
現状より良くなろうという気がないなら帰ってくれて結構だ」


「ちょ、錦!?!?」


「とりあえず、解熱剤と発作予防の薬だけ点滴する。
終わったら受付で薬貰って帰っていいぞ。
壱原が帰るくらいまでなら持つだろう」


「え…」


「俺が嫌なんだろう??俺も嫌だ」


「錦!!いい加減にっ――


「視歩、あとは任せた」



パタンと扉が閉まると先生は出ていった。



「視歩ちゃん…ごめんなさい…」


「ううん。私は別に…。これが仕事だからね…。
でも、錦は…仕事だからとか…そういう風に割り切れないんだ。
だからさ、悪気はないんだよね。許してあげてね??」


「……私…その、ごめんなさいっ……」




しばらくの間沈黙が走り、視歩ちゃんは点滴を取りに戻っていった。




「………私、駄目だ…」
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