小さな村の大きな話
5 触らぬ神に祟りなし



「ただいまー」



誰もいないんだけどね。
…本気で怒らせちゃったな……。どうしよう……。



ピンポーン


「はーい」


「りん??音がしたから退院できたのかと思って…」


「えっと、どうしてそれを??」


「瀬野が知らせてくれたの」


「…そっか……」


「どうしたの??何かあったら??」



首を振ってみるけど全然ダメだ…。
ポタポタと涙が落ちてくる。



「うちおいでよ、お茶でもしよ??」


「うん…」



樹ちゃんに招かれてお家にお邪魔する。
無駄なものが無くて、白基調のスッキリとしたお部屋だ。



「ごめんね、何もなくて。
基本は兄と二人暮しだからさ」


「ううん、スッキリしてて素敵だよ」


「りんさ、もしよかったら壱原さんが帰ってくるまで家に泊まらない??」


「え…??」


「どうせ隣だし、私も心配だしさ。
それにね、うちの兄は結構仕事が忙しくて…家では私一人のことも多いの。
だから、まぁ、その…」



下を向きながら樹ちゃんが口ごもる…。



「寂しい、のよね。」



かぁぁぁぁっっと赤くなる樹ちゃん。
照れてる…なんか、可愛いっ!!



「それに、食事だって3人いれば作りがいがあるじゃない!!」


「えっと、その…」



ちらっと見ると、すごくそわそわしてる。
こんな状態の私が泊まるなんて迷惑だろうけど、お言葉に甘えてみようかな……。



「じゃぁ、えと…よろしくお願いします」


「うん!!よろしくね、りん」


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