癒し恋~優しく包まれて~
私、何かした? 何かされた?

思い出そうとしても何も出てこない。

そうだ、服! 服は着てる?

服は着ていた……上に羽織っていたカーディガンを脱いではいるけど、ワンピースはちゃんと着ていた。

だから、何もしていないし、されてもいないと思う。

覚えていない自分が情けないけど、何もされなかった。私の処女は守られている。

だって、初めてはカズさんとすると決めているから……


「あー! そうだった……ダメだったんだ」


もう私の願いは叶わない。


「何がダメなの? 頭が痛いとか気持ち悪いとかない?」

「いえ、別に何でもないです。あ、痛くも気持ち悪くもないです。あれ、これ……」


枕の横に濡れたタオルがあった。もしかして、これは私のために?


「うん、目は腫れてないね」

「冷やしてくれたんですか?」

「腫れたら大変だしね。それより気分が悪くないなら、玉子雑炊食べれる?」

「ありがとうございます。雑炊ですか? 食べれますけど」
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