癒し恋~優しく包まれて~
私の震える肩を入江さんが抱き、自分のもとへと引き寄せる。微かに柑橘系の香りが漂ってきた。止まらない涙が、入江さんのワイシャツを濡らしてしまう。


「すみません……」

「俺に謝らなくていいから。三上さんの疲れた心は、俺が癒してあげるよ」


またもや優しい言葉に私は頷いた。どんなふうに癒やしてくれるのかなんて、考えもしないでただ頷いた。

癒してくれるなら癒してもらいたい。この傷ついた心を癒してもらいたい。


「泣きたいだけ泣きなよ」


この日の夜、涙が枯れるまで泣いた。翌日、どんなに酷い顔になろうと関係なかった。カズさんは私がどんなに完璧なメイクをしたって、どんなにセクシーな服を着たって、私を特別の女にしてくれなかった。

泣きながらカクテルをおかわりして、何杯か飲んだ。何杯飲んだかは覚えていない。パーからどんなふうに出て、その後どうしたのかも覚えていない。


目が覚めたら自分の部屋ではない部屋にいた。

私の部屋の天井も広いけど、模様が違う。


「あ、起きた? おはよう」


入江さんの顔が見えて、パッと飛び起きた。ここはどこ?
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