癒し恋~優しく包まれて~
「神原さ、お前いちいち突っ掛かるなよ。何年付き合っていたって別れるときは別れる。そんなの俺たちだけに限らないだろ? もういい加減にこの話はやめてくれない? せっかくの食事を美味しく味わいたいだろ?」


俊也さんがイライラする気持ちも分かる。この話には終わりが見えない。俊也さんの発言に否定的な神原さんはどんな答えでもきっと納得しない。

強制的に終わらせないとご飯を美味しく食べることが出来なくなるのはここにいる全員が分かっている。私たちは俊也さんに言われたことで黙って、食べることに集中させた。

このレストランは自然食レストラン。メインは鶏むね肉のソテーで、付け合わせはマッシュポテトとニンジンのグラッセだった。

ふと俊也さんを見ると、食べ終わってはいるけど、ニンジンだけが端に残っている。


「入江さん、ニンジン嫌いなんですか?」

「ああ、苦手なんだよ」

「もしかして、それで俺の特製スムージーを飲まないとか?」


岩田くんも同じように入江さんの皿にあるニンジンを見ていた。そのニンジンを見て、スムージーをいつも断る理由が閃いたようだ。
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