癒し恋~優しく包まれて~
入り込んだ手が動かないようその手首を押さえていた。俊也さんは指だけを楽しそうにパラパラと動かす。その指が肌に触れるからくすぐったい。


「ご、ご飯用意しますね。簡単なものだけど、食べてください」

「まだ早いよ。ごろごろしてようよ」


体を浮かせたが、また引き寄せられてごろんと転がる。今度は後ろから抱きしめられた。

この体制も悪くない。


「柊花、どんな小さなことでも不安なことがあったら何でも言ってね」


俊也さんは多分昨日の私のことを言ってる。不安そうな顔を見せていたかな。

言ってみよう。


「今もセリナさんと会っているのですか? なんで別れた人の結婚式行くのかも不思議に思っていて」

「うん、今でも時々会うよ。この前もここに来たあとにお土産を渡しに行った。家に行くこともある。今度、セリナの旦那と子供も紹介するね」

「旦那さんとお子さん?」


そんな家族ぐるみで仲がいいとはビックリした。


「うん、セリナの旦那は俺の従兄弟なんだよ。だから、親戚になる」

「ええっ! 従兄弟?」


もっとビックリした私はくるりと体の向きを変えて、俊也さんを見る。
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