癒し恋~優しく包まれて~
「三上さん、本当にありがとう。助かったよ」

「ううん、なんだか楽しかったし、役に立てて良かった。明日も頑張ってね」


駅に着いて、今日の恋人役は終了。すると、私たちの間に影が出来る。


「柊花」

「俊也さん!」

「入江さん! 今日は三上さんをお借りしてすみませんでした」

「ああ、それはいいから、早く離せよ」


突然の俊也さんの登場に二人して驚き、岩田くんは恐縮して頭を下げた。

言われて、まだ手を繋いでいたことに気付き、パッと離す。芝居だとはいえ、こんなところを見られたくはなかった。

岩田くんは俊也さんに何度も頭を下げて、先に駅の中へ入っていった。

私は隣に立つ俊也さんをそっと窺い見て、手を握る。その手はひんやりと冷たかった。


「いつから待っていてくれたんですか?」

「あー、20分くらい前からかな。そろそろかと思ってね。どんな顔して岩田の恋人役をやっているんだろうと気になってしまってさ」


知られてしまうのが恥ずかしいのか、首の後ろを照れるように掻く仕草に胸がきゅうと締め付けられて、両手で冷えた手をぎゅっと握りしめる。
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