癒し恋~優しく包まれて~
今度は私が答える。岩田くんはうんうんと頷いていた。


「その謙虚な姿勢もいいねー。そこでね、君たちに一つの案件を任せてみようかと考えているんだけどね」

「私たち二人にですか?」


予想もしていなかったことに私たちは驚いて顔を見合わせた。課長は一枚の紙をテーブルに置いた。

課長が言うように私たちはまだ入社して一年も経っていない。そんな新入社員に何を任せるのかと渡された紙に目を通す。


「文具フェアですか?」

「そうそう。毎年ね、いろんなところでこういったフェアはやっているんだけどね、これは来年の六月に都内のある工業大学で開催予定なんだ」

「大学ですか?」

「君たちは大学生に一番近い年齢だということもあって、適任じゃないかなと思ってね」

今まで特定した大学でフェアをやったことはないらしい。学生たちが作品として作り上げた文具を展示するのが一番の目的だが、そこに商品として世に出されている文具も並べて展示して、フェアを盛り上げたいそうだ。


「コロアールだけではないんですよね?」

「もちろん。全部で五つのメーカーが参加することになっている。そのうちの一つはドイツの企業だけどね」
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