癒し恋~優しく包まれて~
年齢は確か30歳だったはず。長身でスラッとした入江さんは、体のスタイルだけでなく整った顔も魅力的らしく、同じ課の先輩が憧れている。

他にも入江さんを狙っている人がいて、何人かの女性社員が食事などに誘っているの光景を見たことがある。モテる人なのだと思う。

今日は誰かに誘われてこのホテルに来たのかな?

今は一人みたいだけど。


「三上さん、泣いてたの?」

「えっ、あ、いえ! あの、その」


私はまだ涙が残っている顔を拭いた。突然の入江さんの登場に驚いて涙は止まったけど、泣いていないと誤魔化せる顔ではない。

だからといって、泣いていたとも言いにくい。

入江さんは動揺する私の前に座る。

なんでだろう?


「今日は何しにここに来たの? これからの予定は?」

「あの、えっと……ここには30階にあるレストランで食事をするために来ていて……これからは何もないです」


話していて、悲しくなる。

食事の途中でこのあと大事な用があるからと退席した。仲良さそうに目を合わせて話す二人を見ていられなかった。
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