癒し恋~優しく包まれて~
「いらっしゃいませ。あ……」


どこかのテーブルを片付けていたあとなのか、トレイに汚れたグラスや皿を乗せて運んでいた進士さんに出迎えられて頭をペコリと軽く下げる。


「もしかして俊也と待ち合わせしてる?」

「ええ、まあ、一応」


私の来店に進士さんが驚いた表情をするから、待ち合わせしてはいけなかったのかと不安になる。

あ、入江さん、いた。だけど、隣に誰かいる……?


「あ、三上さーん」

「俊也、誰この子?」


カウンター席に入江さんはいたけれど、隣には髪の長い女性が座っていて、入江さんが私に向かって手を挙げるとくるりとこちらを見てきた。

きれいな人だけど、ちょっとつり目なのがきつそう。


「あー、同じ会社の子なんだ。エリカ、そっちに行って」

「なんでよ。その子がそっちに行けばいいでしょ」

「あ、私こっちでいいです」


入江さんは隣に座っているエリカという女性を動かそうとしたけど、エリカさんは動く気が全くない。

そんな怖そうな顔している人をどかしてまで座る勇気がないので、私は空いている席に座ろうとした。
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