癒し恋~優しく包まれて~
「フロントに聞いたら、空いていたから泊まったよ。昨日は足がふにゃふにゃで全然立たなかったから、抱っこして連れてきた」


ホテルの部屋みたいだと思ったけど、本当にそうだったとは! 私はまた記憶をなくしたの?


「ごめんなさい! こんなに酔うつもりはなくて。本当にごめんなさい!」


私はベッドの上で正座して、入江さんに向かって頭を下げた。重ね重ね迷惑を掛けてしまったことが本当に申し訳ない。

ポンポン

入江さんが下げた頭を軽く叩いたから、あげて何だろうと首を傾げた。


「別に怒っていないから、そんなに謝らないでいいよ。今日は休みなんだから、もう少し寝ようよ。まだ六時だよ? ほら、おいで」

「えっ、キャッ! いたっ……」


いきなり腕を引っ張られて体制を崩した私は、入江さんの胸に鼻をぶつける。


「ああ、ごめん、ごめん。大丈夫だった? ほら、いいからちゃんと中に入って」


ぶつけて多分赤くなっているであろう鼻を軽く撫でられたあと、入江さんの腕の中にすっぽりと入れられてしまう。

これはどんな状態?

抱き締められているよね?
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