癒し恋~優しく包まれて~
男の人にここまで密着するのは初めてのことで、どう息をしたらいいか分からなくなる。鼻息でさえも入江さんの胸にかかるこの距離に戸惑うしかない。

彼から伝わる体温は温かいけれど、どう身動きしたらいいか分からない。それに動いてはいけないような感じもする。


「三上さん、固くならなくていいからリラックスして。もう少し寝ようね」

「えっ?」


入江さんは背中を何度か撫でる。

顔をあげると薄目を開けた入江さんの顔がすぐそこにあって、心臓が大きく跳ねる。この体制で寝ろというのだろうか。


「おやすみ」

「はっ? え……」


おでこに入江さんの唇が触れる。

これは、キスというもの?

でこちゅーとか聞いたことあるけど、それだよね?

なんで? と聞こうとしたけど、寝息が聞こえてきた。

本当に眠かったんだ。私が起こしてしまったし、また起こしたら怒られるかも。

静かにしていよう。

しかし、本当にここは温かくて気持ちがいいな。程よい温もりに私の瞼も閉じていく。

もう少し寝ていいと言われたし、寝てしまおうかな。最近眠りが浅い日が続いていたけど、久しぶりに気持ち良く眠れそう。
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