癒し恋~優しく包まれて~
私は触れられた部分を手で覆い、振り向いて立ち上がった。鏡越しではなくて、しっかりと目を合わせる。


「こんなこと突然何も言わずにされたら、困ります」

「なるほど。じゃあ、突然でなければいい?」

「はい?」

「柊花、キスしたことある? あ、口にね」

「は? いえ……」


突然『柊花』と名前で呼ばれて、今までの優しい入江さんとは違う入江さんに変わった気がした。

この感じはなんだろう?

男っぽいというか……って、それよりも! キス!

キスしたことあるか聞かれたから、答えないと。

私を見上げていた入江さんも立ち上がり、今度は私が見上げる。


「ないですが、なんで?」


意味が分からないから、なんで聞くのかと聞き返す。入江さんは妖しく笑って、口を開く。

なぜだかさっきから入江さんの口しか目に入らない。二度寝するときにおでこに触れた口。さっき首に触れた口。

柔らかい唇だった。


「柊花とキスしたい。してもいい? 気持ち良くしてあげるから」

「えっ?」

「ダメ? どうしてもダメ? 絶対ダメ?」

「絶対にとは……え……んっ」
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