癒し恋~優しく包まれて~
その夜景と一緒に思い出すのはやっぱりカズさんと隣にいた彼女。胸が痛み、夜景から目を逸らした。


「こっちのカウンターで飲もう」


カウンター席からは横を向かないと夜景は見えない。入江さんが気遣って、こっちの席にしてくれたのかどうかは不明だけれど、その提案は今の私にありがたかった。


「いらっしゃい。珍しいね、女性連れてくるなんて何年ぶりだっけ?」

「余計なことは言わなくていいから。えっと、三上さんはたしか飲めたよね? 何がいい?」

「はい。じゃあ、あまり甘くないカクテルをお願いしたいんですけど」

「うちのオリジナルのが甘くなくておすすめだけど、それでいいかな?」


私は頷いて、オリジナルカクテルを貰うことにした。

入江さんの高校時代の友だちだというバーテンダーさんの名前は進士(しんじ)さんといった。

ちょっと肌の色が黒い進士さんはワイルドな感じのする人で、笑ったときに見える歯が白く並びもきれいだった。


「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」
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