癒し恋~優しく包まれて~
目の前に置かれたカクテルはきれいな青色をしていて、ウオッカベースだという。

入江さんは、テキーラベースのオレンジ色したカクテルを飲んでいた。


「飲んで忘れろとまでは言わないけど、少しでも気分転換になればいいんじゃないかな」

「そうですね」


一口飲むと、喉が焼けるように熱くなった。きれいな色のカクテルはアルコール度が高いようだ。でも……


「美味しい」

「でしょ? さっぱりしていて飲みやすいでしょ?」


ワイルドな見た目の進士さんの声は意外にも柔らかくて優しい。


「でも、飲みすぎないように気をつけてね」


入江さんの声も優しい。入江さんって、こんなふうに優しく話す人ではなかったと思う。オフィスで見る顔とは印象が違う。

同じ課にいながらも挨拶程度しか言葉を交わしたことはなかったけど、入江さんのグループにいる同期の岩田くんを指導している様子とか見たときは厳しい人だと感じていた。

あれは仕事用の顔でプライベートの顔は違うのかな?


「ん? どうした?」

「いえ、お二人とも優しいなと思って」
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