癒し恋~優しく包まれて~
どこまでもとんでもない要求をする人だ。躊躇う私に入江さんはうんうんと頷くだけで、私の反応を楽しんでいる気がする。

でも、ずっとここで悩んでいても時間だけが過ぎていく。私は本当に本当に! 覚悟を決めて、座った。

跨ぐことはさすがに遠慮させていただいて、横向きに足を揃えて座った。

それから、体を斜めにして入江さんの方へと向ける。座ったことによって、私からのほうが高くなって、見下ろす形となった。


「はい、どうぞ」


入江さんは顔を上に向けて、目を閉じる。

私はゴクンと唾を飲み込んで、ゆっくりと顔を近づけて、そっと唇を合わせた。

そして、すぐに離れた。

しちゃった!

心臓がドキドキとうるさく動いている。

どうしよう……あ、とりあえずしたから、降りなくちゃ。

離れようと腰を浮かせると入江さんがパチッと目を開けて、私の手を引っ張る。


「わっ!」


引っ張られて前のめりになったから、入江さんのおでこに自分のおでこをぶつけてしまう。


「いたっ! あ、ごめんなさ……んっ!」
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