Pyua love ~そして真実~
廊下の向こうから、待ち人がやっと姿を現した。

外山さんが近づいて来ると、一瞬僕の姿を捉えて驚く。

そりゃそうだよね。

こんな教室の前で大勢の人に囲まれながら突っ立っているんだ。

そして、外山さんは人を避けながら教室へと入ろうする。

僕は、慌てて声をかけた。



「おはよう。外山さん」

外山さんの教室に入りかけた一歩が止まった。


加藤さんが僕を凝視する。
周りの生徒もクラスメイトも全員が僕と外山さんに注目する。

外山さんは、そのまま動かない。
僕はもう一度声をかける。

「外山さん?聞こえなかった?おはよう」

「え!?あ・・・私?」

外山さんの視線が僕と合う。
その視線は、驚きの表情でいっぱいだった。

「おはよう」

外山さんは一言そう返すと、さっさと教室に入ってしまう。

とりあえず、僕のミッションは成功した。

「ちょ・・・冬也?何ですの?今のは・・・」

「クラスメイトに挨拶をしただけだが?」

僕の腕を掴みながら、キッと睨む加藤さんの手をやんわり外すと、僕も教室へと入った。


僕は、外山さんと話せないかと様子を伺う。

移動教室では、さりげなく後ろを歩く。

(これじゃあ まるでストーカーだな・・・)

僕は自分で内心笑った。

外山さんは、佐藤さんと仲が良いことは分かっている。

そういえば、佐藤さんも僕には全く興味を示していない分類の生徒の一人だったな・・・。

近づいたら一体どんな反応をするんだろう。

僕は、なんだか楽しくなっていた。
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