空色(全242話)
『私生児って話は、前にしたよね?』
十和は、私の頭をポンと1回触ると、ゆっくりと話し出した。
『母親がアユと同じなんだ』
『私と同じ?』
それってどういう……
『うちの母親も、風俗店で働いてる人だったの』
……え?
『だから。 そんな女、好きになってやるもんかって思ってた』
そんな、まさか。
『親と同じ道筋は通りたくないってね』
十和のお母さんが?
待って。
いきなりすぎて、上手く整理出来ない。
『派手な外見や、男に媚びる姿って、何と無く好きになれなくて…… だから逆にあの日、アユに声を掛けたのかも』
【アユが一番綺麗だったから】
もしかしてあの言葉は、外見を言っていたんじゃないのかも知れない。
十和の中の「汚い人間」
あの中で私が一番、それから遠かったのかも知れない。
馬鹿だよ。
私、すごく汚いよ。
初体験なんか、あんなんだし。
オーナーの言いなりだし。
だって、幸成ともキスしたんだよ?
本当に、凄く汚いんだよ?
『風俗嬢だとか母親だとか。 そんなの関係なくなるくらい、俺はアユを好きになったんだ』
こんなに真っ直ぐに気持ちをぶつけられた事、今までにない。
誰もここまで想ってくれなかった。
私も、これほど人を愛しいと思った事はないよ。
『私も、オーナーの事とか、お店の事とか忘れてた』
大切に、大切にしたい。
十和の事……
『それくらい…… 十和の事、考えてた』