どんな君でも愛してる
「………葉山の……別荘…。」

 奏子は、すぐ横に座る瑠璃の異変にいち早く気がついた。泣くのを躊躇しているのか、下を向きながら膝においた手を震わせている。

"どうしたの?"奏子の声に皆が瑠璃を向く。

 響介は、震わせている瑠璃を抱き締めたい衝動にかられるがそれも出来ず、拳を握った。

「……赤い屋根の…レンガの広い一軒家。暖炉があって……別荘の前は、広い湖。……アルっていう、ひくっ…ラブラドールがいて…… 外でバーベキューが出きる… ひくっ。」

 声を振るわせ、泣きながら話す瑠璃。

「……今は、アルじゃなくて、エドウィンっていうラブラドールがいるよ、瑠璃ちゃん。」

 優しそうな眼差しを向ける総帥。

 その眼差しは、社員などに向けるものじゃなく、明らかに娘や孫を慈しむ顔だ。

「私ったった今まで、その話は夢の話なんだって、パパは嘘つきなんだって、私の幻想だって……。」

「瑠璃ちゃん、別荘の話、聞いてたんだね。」

「……はい。……あの事故の日、私、しつこく場所を聞いたから……。誰に会いに行くのかって、でも、事故にあって、病院で目を覚ましたら、近くには誰もいなくて……パパは嘘をついたんだとばかり……」
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