どんな君でも愛してる
「彼女は、息子と会うことを許してくれたが、結婚はしてくれず、父親として認知することも許してはくれなかった。すでにニューヨークなどに事業を拡げ、私のあとの権力争いが始まっており、認知することは難しいかったのだ。」

 瑠璃には事業の話をされても分からないが、すごい人何だと言うことは伝わってくる。

「その後、彼女は亡くなり、私も事業が忙しくなって、息子とは疎遠になった。しかし、何年かして息子の方から結婚式の招待状が届いたんだ。息子は賢い青年で、認知していない父親だから、知り合いとして出席してもらえませんかと書いてあった。だが、メディアに顔だししていた私が結婚式に来ると大変だと返事し、秘書に祝い金とこっそり写真を取ってくるようにお願いした。」

 遠い目をし、昔を思い出す目は優しさで溢れていた。

 辛い思い出のはずなのに、こんな顔をさせるなんて、余程いい相手なんだと言う空気が流れる。

「その二人の間に、子どもが一人産まれた。孫の顔は、息子が送ってくる写真で知っていたが、実際に会う約束をしたがそれは中々叶わなかったよ。息子とは養子縁組をする予定だった。だが、約束の葉山の別荘に行く途中、事故にあって亡くなったよ。」

 悲しそうな顔をし、うっすらと瞳に涙を浮かべているように思えるが、八木からだされたハンカチを総帥は受け取らなかった。
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