誰かのための物語
合宿が始まってすぐは、試合に出る機会が少なかった。

試合の終わりの十分だとか、途中の五分とか。

短いときはチームメイトが鼻血を出したときの交代としてだとか。


だからこそ、その少ないチャンスを大切にした。


ディフェンスはもちろん、苦手な攻撃にも積極的に参加した。 


一日目の夜、僕は宿舎近くの芝で相良と一緒に練習をしていた。

ーー自分の苦手に、ひとりで立ち向かうことをやめる。


僕が頼むと、相良は快く「いいよ」と言って練習に付き合ってくれる。

練習の合間に、僕は相良にいろいろと質問するようにした。

彼は、僕が持っていないものをたくさん持っているから。
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