恋人は魔王様
「あら、ジュノ。あなたに迷惑をかけるつもりはなくってよ。キョウが忙しくて全く私の相手をしてくれないんだもの。
この国は、未来の王妃に対する敬意がまるでないじゃない」

刺を含んだ女の声。

「全くだ」

低い、耳に馴染んだ声。

パチりと指を鳴らす音がして、蝋燭をともしたような薄明かりに包まれた。

丸い石畳の部屋の真ん中に私はいた。それを囲むように壁伝いにぐるりと螺旋階段があり、黒いドレスを纏った美女がさげずむように、私を見下ろしていた。

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