恋人は魔王様
その数段下にジュノと呼ばれた執事がいて、キョウはもっとすごく上から優雅な足取りで降りてきていた。
今日はスーツ姿なんかじゃない。
およそ、日本の日常生活ではお目にかかれないような豪奢な衣装を身に纏い、果ては黒いマントをなびかせている。

これがまた、コントのようでなく、しっくり様になっているから不思議なものだ。

「私が迎えに行ければ良かったのだが」

私があんぐりと見上げている間に、キョウは颯爽と降りてきて、他のギャラリーなんかいないかのように、さらりと私に軽いキスをした。

もう、これは雰囲気に呑まれるなっていうのが無理ですからっ!


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