桜舞い散るとき、キミは涙する
「朝っぱらから携帯握りしめちゃって。
秀才君から、愛のモーニングメールでも来た?」
「……」
何も言わない私の反応を肯定と捉(とら)えたのか、佳奈が「このこの~」と冷やかしてくる。
「なんだかんだ言って、うまくいってるみたいで良かったじゃん」
「……」
「心配して損しちゃった! ……って。
ん? 実紅?」
「…………」
相変わらず無言な私にようやく異変を感じたのか、佳奈が怪訝(けげん)そうに首を傾げた。
「どしたの? 秀才君とケンカでもした?」
俯いて、ブンブンと首を横に振る私。
佳奈は私の席の前の自分の机に鞄を置くと、席に着きそのままイスごとこちらに向き直った。
「何かあったんでしょ?
相談のるから、ほら、話してごらん」
佳奈の諭(さと)すような優しい声音に、張りつめていた心の糸がフッとゆるむ。
「何も……ないの」
「……? そんな暗い顔して、いくらなんでも何もないってことはないでしょ?」
「だーかーらー!メールも電話も誘うのも、いっつもい~っつも私からばっかで、とにかく大和君のほうからは、キレイサッパリなーんにもないの!」
泣きそうになるのを必死でこらえ、マシンガンのごとく佳奈に言い放つ。
そうしてここ二週間の彼とのやりとりを、今度はゆっくりと話し始めた。
